認知症を患った親の自宅を売却する時の手続きと注意点を知る
認知症の親の家を売却したいけど・・・
高齢化が進む現代、親が認知症を患い、自宅を売却せざるを得ないというケースが増えています。
施設入居費用の確保や空き家のリスク対策など、理由はさまざまです。
しかし、認知症と不動産売却が絡むと、法的な制約が発生し、思わぬトラブルに発展することもあります。
この記事では、認知症を患った親の不動産売却における基本的な手続きと注意点、
そして実際に起きたトラブル事例や、横浜市内での相談事例をご紹介します。
認知症と不動産売却の関係
不動産を売却するには、所有者が「契約の内容を理解し、
自己の意思で判断できる能力=意思能力」を持っている必要があります。
認知症の進行によってこの意思能力が失われると、
本人名義で売買契約を結ぶことは法的に無効となる可能性があるため、慎重な対応が求められます。
成年後見制度の利用が必要となる場合
意思能力がない場合は、家庭裁判所を通じて「成年後見人」を選任し、
その後見人が不動産売却を行う必要があります。
この手続きには、
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医師の診断書
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家庭裁判所への申立書
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家族構成や財産の詳細資料
などが必要で、選任までに1〜3ヶ月、売却許可取得にさらに1ヶ月程度かかる場合もあります。
後見人の選任を怠ったことで生じたトラブル3選
事例①:売買契約が無効になり損害賠償問題に
息子が認知症の父親に代わって契約を進めたが、意思能力がないと判断され、契約が無効に。買主から損害賠償請求を受けた。
事例②:親族間での相続争いに発展
兄が勝手に実家を売却し、売却代金を管理。後に弟が家庭裁判所に申し立てを行い、「財産侵害」だとして対立。相続が難航。
事例③:施設入居のタイミングを逃す
売却代金を施設入居資金に充てようとしたが、後見制度の手続きに時間がかかり、希望していた施設への入居が間に合わず。
【横浜市内の相談事例①】港南区|親の自宅を処分したいが判断力が怪しい
60代の女性からの相談。認知症を患う80代の母親が所有する横浜市港南区の一戸建て住宅を売却し、
老人ホームの入居資金に充てたいとの希望がありました。
一見して元気そうに見えるものの、会話が噛み合わず、重要な契約内容の理解が難しい状態。
司法書士と連携して意思能力の有無を診断した結果、「契約を理解できる状態ではない」と判定。
➡ 家庭裁判所に成年後見人の申立てを行い、娘自身が後見人として選任されました。
➡ 約3ヶ月後、裁判所から不動産売却の許可が下り、無事に売却完了。老人ホームの初期費用にも間に合いました。
🔍 ポイント:医師の診断と専門家の判断を早めに受けたことで、スムーズな後見人選任と資金確保につながった事例です。
【横浜市内の相談事例②】磯子区|独居の父の自宅を売却したら親族からクレームに
70代の父親が磯子区の団地に一人暮らししていたが、認知症が進行し施設入居へ。
長男が勝手に売却を進めようとしたところ、遠方に住む妹が「勝手なことをしないで」と反発。
売却後にトラブルになりそうな状況に。
相談を受けた当社では、司法書士・弁護士を交えて親族全員と協議の場を設定。
意思能力を確認後、家庭裁判所に後見人申立てを行い、第三者専門職が後見人に選任され、
売却価格や契約内容も裁判所が監督。
➡ 結果として、誰もが納得できる形で売却が成立。
売却代金の使い道も記録され、将来の相続時のトラブル回避にも成功。
🔍 ポイント:法的な「中立性」と「透明性」が、親族間の不信を解消するカギになった好事例です。
【横浜市内の相談事例③】鶴見区|認知症の母の空き家を放置し続けた結果…
すでに施設に入所して5年が経過した母親の家(横浜市鶴見区)が空き家となり、
近隣から「草が伸び放題」「ゴミの不法投棄」などの苦情が出てきたとの相談。
当初は売却に消極的だったが、相続放棄の可能性も含め専門家と検討した結果、
母の財産として売却を進めることを決意。
ただし、母は認知症が進行し、意思能力が完全に失われていたため、後見人の申立てからスタート。
空き家特例の適用や税務処理も慎重に対応。
➡ 売却完了までに半年以上を要したが、トラブルを抱えていた空き家がようやく解消され、近隣関係も修復されました。
🔍 ポイント:空き家問題が近隣トラブルへ発展する前に、法的手続きに着手することが重要。
成年後見制度を使う上での注意点(再掲)
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後見人がいても、不動産売却には裁判所の許可が必要
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売却価格が市場より極端に安いと、許可が下りない場合も
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売却益は後見人が管理し、本人の生活のために使用
まとめ:横浜での事例から学ぶ「早めの相談」の重要性
認知症の親の自宅を売却するには、法律上の手続きや家族間の調整が不可欠です。
とくに横浜市のような住宅密集地域では、空き家放置が近隣トラブルに直結することもあります。
トラブルを避けるには、認知症の兆候が見えた段階で早めに相談することが最善の対策です。
当社では横浜市内を中心に、後見制度を利用した不動産売却を数多くサポートしてきました。
司法書士・弁護士との連携により、「手続き」「売却」「税務」「相続」まで一貫して対応いたします。
「うちもそろそろ準備が必要かも…」と感じたら、お気軽にご相談ください。
相続した不動産、または相続予定の不動産で
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先ずは抱えられている現状を確認させていただき、
最善の解決策をご提案させていただきます。
また、弊社は相続不動産になる以前の「就活」にも
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執筆:LikeStyle株式会社
代表 鈴木 悟史




